2014年9月27日土曜日

Wharton Leadership Ventures - Quantico Military Simulation (*Whartonに来たら、オススメです!)

先週の話になるが、木曜の夜から金曜の夜にかけて、ワシントンDCの南部に位置するQuanticoというMarine Corps(アメリカ海兵隊)の基地で軍事訓練を受けてきた。

軍事訓練とは言っても、なにも人殺しの練習に行ったわけでは勿論無く、Wharton Leadership Venturesというリーダーシップを養成するMBAのプログラムに参加するために行ってきたのだ。

(Wharton Leadership Venturesには、今回のような短期集中プログラムの他、南極の探検や船での航海等長期プログラムも用意されている。詳しくはこちら

Quanticoはアメリカ海兵隊において、大学通学中若しくは大学卒の一般人からオフィサー(将官)候補をスクリーニングするための基地である。ここで行われている訓練は肉体的・精神的にとても厳しいものだが、リーダーシップを発掘し、かつ養成するために良く練られてているものだと感じた。

今回はその厳しい訓練の、ほんのさわりを体験してきた。

<一日目>
夜にバスで到着するや否や、すぐさま軍曹に整列を命じられ、宿舎まで小走りで向かう。
道中列を乱すことは許されず、軍曹からの声掛けには「アイアイサー!」と元気に答えなければいけない。まるで映画のワンシーン。。。
宿舎に到着後も、軍曹からは、整列が乱れているだの、体の一部を許可なく動かすなだの、ベッドメイキングが汚いだの、とにかく理不尽な罵倒が延々と続き、ようやく睡眠を許可されたのは夜中の2時半。しかも睡眠中も2人一組で交代で見回りをしなくてはならず、5時の起床までほとんどまともに寝られた者は居なかったと思う。

<二日目>
この日は本格的に、肉体を駆使する訓練の体験を行った。
前半は、4人一組でProblem Setと呼ばれる、戦争中の模した状況下での作戦行動の練習を行った。例えば、橋が爆破された川で、いかに傷病者を向こう岸まで運ぶか、等。
毎回持ち回りでリーダーを決め、リーダーが作戦の指示だし等を行うのだが、頭と勇気と行動力を同時に使わなければ解けない問題ばかりで、これがなかなか面白かった。

後半は、子供の頃に遊んだアスレチックスの巨大版のような施設で、ロープ上での匍匐前進の方法等を身に着けた後、実際に森の中を実戦さながらに走り回ったり、泥水を顔から被りながら匍匐前進したりした。

一日目に比べると、二日目の方が肉体的な負荷が大きいものの、普段ジムに通っているせいか、そこまで苦には思わなかった。個人的には大声で鬼軍曹に叫ばれ続けるのは精神的に疲れるので、二日目は寝不足ながらも断然気は楽に感じた。(とはいえ、怒鳴られながら作業するのは日本の部活動などの経験で慣れているので(苦笑)、他の同級ほどのストレスは感じなかったかもしれない...)

あっという間の二日だったが、通常は見ることもできない場所で、非常に興味深く、示唆に富み、貴重な体験ができたと思う。
最後に走り書きだが、帰り道、バスの中で感じたことをつれづれなるままに書き記しておく。

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・あえてchaoticでstressfulな状況を作り出し、marine officerとしての資質を見極めている。怒鳴り散らすにも科学的な意味があると分かり、面白かった。

・Commanding Officerなど、トップの言葉は常にロジカルだった。
愛国主義や軍事主義的な話は一切出てこず、理性が支配している世界だなという印象を持った。

・Leadershipとはボスになることではなく、「selflessnessや人をinspireすることだ」と強調しているのが印象的だった。

・同様に印象的だったのが、moralやethicsを強調していたこと。『誰も見ていないところでもモラル的に正しい行動が取れるか』をリーダー候補者のスクリーニングの要件にしているとのことだ。

・軍隊というとどうしてもネガティブな印象を持ちがち。(パレスチナに対するイスラエル軍の破壊や、沖縄における米国軍人による婦女暴行のイメージなど)
しかし少なくともMarineのOfficerたちは技術、人間性、体力全てに優れたプロフェッショナルで、彼らの行動は基本的には禁欲的であり、その一部を垣間見た今となっては尊敬の念を禁じえない。

・民主国家において軍隊をどう使うかは政治家と国民の選択だ。現場のプロフェッショナルを感情に任せて非難するのは簡単だが間違っている行動であり、軍事行動の決断権は間接的ではあるが主権者たる国民に委ねられているのだということを胸に刻んでおきたいと思った。

2014年9月13日土曜日

2014 Fall の履修授業 (1)

授業が本格的にスタートし、はや2週間が経った。
Elective(選択授業)ばかりを取れる二年生の授業は、予期していた通り、とても楽しい!

今期は、ファイナンス(3) + マネジメント(1) + Field Application Project(1)  + Non-Wharton Class(1)という計6単位を履修している。
(いろいろと考えた結果、ファイナンスをMajor(専攻)にすることにしたので、今期はファイナンスの授業が多い)

6単位と言うと、1学期にとる単位としては相当に多いのだが、通期で講義を受け続ける授業は最初の4つのみで、 残りの二つはまだ開始していない。そのため今のところ授業の負荷は心地よい程度だ。

去年の今頃は興味が湧かず、且つ事前の知識の無い授業に、追われ苦しんでいたイメージだが、今学期は興味のあるテーマについて、自分から追いかけ、且つしっかりと消化できている実感がある。
しかも取っている授業はどれも人気授業と言えるもので、教授の質は素晴らしく、生徒のモチベーションも高いので、きちんとモノにできれば着実に成長できそうだなとワクワクしている。

現在既に開始されている4つの授業については、その内容を簡単に紹介しておきたい。

1 International Corporate Finance
為替を財務・会計上どう扱うべきかを学ぶ授業。
為替についてはこれまで苦手意識があったのだが、今後途上国投資に従事するのであれば避けては通れない領域だと感じ、履修を決定。(これに改めて気が付けたのはDCでの夏のインターンのおかげ。)

元来数学の苦手なオレとしては、正直言って面倒な内容だが、辛いがゆえに自分からすすんで勉強することの無い分野なので、「良薬口に苦し」という感じで有難く受講中だ。
教授は非常に熱量のある人で、授業はなかなかに面白い。グループワークも多く、コミットの求められるクラスだ。

2 Real Estate Investments
不動産投資について体系的に学ぶ導入的な授業。
Corporate PE投資に従事していた時代は、よりシンプルで機械的に見える不動産PE投資を正直少し蔑んで見ていたこともあったのだが、勘違いはなはだしかった。
実際に勉強してみるとオペレーションへの想像力が求められることもあり、非常に面白い。
将来個人的に不動産投資をやる可能性も無くは無いので、勉強しておいて損の無い授業だと思う。
なお、この授業の教授の熱量もかなり高く、授業は楽しい。そして複数のケーススタディについて、グループワークもあり、楽しみである。

3 Finance of Buyout and Acquisition
主にPEのバイアウト案件をどうストラクチャーするかについて勉強する授業。
自分にとっては何ら新鮮味のテーマであるのになぜ取ったか?
Majorの規定単位数を満たすため、抽選に漏れた別の授業の代わりに履修を決定。
当初の期待値の低さに対し、内容はとても素晴らしい物だった。
教授が相当に優秀な人で一言一言に重みがあり、これまで知らなかった切り口がとても勉強になる。
さらに現役のPE投資家と言うことで、「高尚だが実務で役立たずな理論」よりも実践的な知識・スキルの習得に重点が置かれていて、理論に傾斜しがちな通常のファイナンスの授業よりも痛快な内容だ。

なお、この授業は、ファイナンスの授業にしてはかなり珍しく、ケースディスカッションの評点がとても高い。Qualitativeな内容にフォーカスしたディスカッションが白熱しそうで、かなり楽しみである。


4 Strategy and Competitive Advantage 
ウォートンで何年も超人気教授で居続けている、Siggelkow教授の戦略論。 実は今期一番取りたかった授業。(取れてラッキー!)
基本毎回ケースディスカッションをするのだが、その中で、一年目に学んだミクロ経済やマーケティングの要素がちりばめられ、まさにMBAで学んだ「点と点が線となって繋がる」感覚を得られる知的に刺激的な授業だ。

準備をせずに臨むとコールドコールで爆死するリスクもあり、毎授業が真剣勝負。その上、教授のディスカッションの進め方のうまさと、示唆の深さがあいまり、学びが非常に多い。

Quantitativeな授業は、講義+Problem Set という、コアのクラスではお決まりの授業形態がどうしても必要になってしまうのかと思うが、戦略論のようなQualitativeな内容を学ぶにはこのようなケースを読んで大人数でディスカッションをする形態が一番学びが多いと思う。

2014年9月1日月曜日

8月の コンサルインターン in Asia で得たもの

8月は日本のコンサルティングファームにて、2週間ベトナム、2週間東京でのインターンシップを行った。
終わってみると、過去1年間のMBA生活の中で一番のハイライトだったのではと思うくらい、充実感があり、楽しく学びの多い一か月間だった。

何がそこまで良かったのか。

・ 素晴らしいホテルを滞在先として与えられたベトナムでの生活が快適だった。
・ ベトナムに行くのが今回初めてだったということもあり、また一人で来ていたのでフットワークが軽く、エキサイティングだった。
・ 一緒に働いたベトナム人のローカルスタッフも、東京の社員の方々も、とてもスマートでやる気があり、良い刺激になった。
・ 特にベトナムの現法の社長(日本人)等、尊敬できる人たちに会えて、自分が目指すべき方向性のヒントをもらえた。
・ 誰かの指示の下ではなく、自分たちで考え且つ働ける環境に身を置き、主体的に動く楽しさを(改めて)知った。
・久々に日本語だけでグループワークを行い、MBAで感じたフラストレーションも無く、効率的かつ効果的な議論ができた

とまあ、いろいろと要因はあると思うのだが、一言でいうと「自分の能力の再発見」が出来たことかなあと思う。

正直、インターンに行く前はコンサル業界でどれだけ通用するのか若干不安であった。
というのも、オレは学生時代に代表的なコンサルを4社ほど受けたのだが、半分は面接にすら進むこともできず、惨敗した経験があったからだ。
ところが、その心配は完全に杞憂だった。
インターンでは自分でも驚くほどの高い評価を会社から受け、去年も含め他のインターン生10数名が得ることができなかったフルタイムの内定も唯一自分だけがもらえることが出来た。(現時点では)


ここで重要なのは、なぜここまで高い評価をもらえたのかということだ。

まず、オレ自身がもともと大きく考えることが得意で、今回のインターンのお題とぴったり合ったということがある。
またそれに関連して、コンサル業界特有の「仮説思考」もうまくやれた。
今まであまり意識的に行ってなかったのだが、右脳で大きな論点やそれを解決するための方策を「感じ」、それを左脳を使いながらロジックに落とし込み、更に関連する問題について右脳を使って考える・・・、という作業は、やってみると意外に難しくなく、また素早く仕事をする上で絶大な効果を発揮した。これを初日の研修で教えてもらい、すぐに実践することが出来たのは良かった。
(昔からこういう仕事の仕方をしておけば、前の職場でももっと評価されたのにと何度も思った・・・。)

ただ一番大きいのは、やはりこれまでの仕事の経験があったことだろう。
今まで投資銀行やPEファンドで、一流の先輩・同僚・顧客と働く機会を得て、経済やビジネスやエクセルのことなんて何も知らなかった自分でも、少しずつ彼らの知恵や技を盗んで、それがそれなりに積み重なっていたことを、異業種に来て初めて知ることができた。
特にMBAに来る直前の1-2年は、会社のパフォーマンスが悪く、成長が実感しづらかったことで、自分自身の能力に自信を失いつつあったので、今回コンサルという少し畑の違う場所で高い評価を得られたのは大きな自信になった。

さらに思うのは、これまでの仕事ではいつも自分が下っ端で、かつ経験も少ない立場にいたので、優秀な先輩を前に萎縮していた自分がいた。そのせいで、本来持っている能力が半分くらいしか発揮できなかった。
今回のインターンでは、いい意味で周りの人がどう思うかはあまり気にせず、自分が正しいと思う仕事のやり方を貫き通したのが逆に良かった。プレゼン一つとっても、誰かに言われたことだけをやるのではなく、自分の頭で考え抜き自ら動くことで、短期間にしては質の高い資料を作ることも できた。


纏めると、自分がコンサルインターンで成功した理由は、1 大きく考える癖がコンサル(or インターン先の会社)の求めるものに合っていたこと、2 これまでの仕事で得た経験やスキルが実はとても高次元だったこと、3 とはいえこれまでは人の下で働き萎縮していた自分の能力が、自由にやらせてもらえる環境下でうまく発揮できたこと、といったところか。

一か月も家を留守にしてしまったので、内定という土産を妻と娘に持って帰れたのは良かったが、何より自分が得られて良かったのは、この自信だろう。
正直、MBAに来てから失うことの方が多かった自分への自信。

この夏で手に入れたこの自信は、これから始まる二年目のMBAライフをプロアクティブに楽しく過ごす上で、一番必要なものだったんじゃないかと思わなくもない。

こどもの誕生

2014年7月11日、わがやに第一子が誕生した。

出産の日の状況を簡単に振り返ると、以下のようなものであった。

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DCでのインターンの最終日まで残り2営業日だった10日の午後11時ごろ、緊急の呼び出しを受けた。
予定日が20日だったので、予想外の急な展開に驚きつつ、急いで支度をして、終電の地下鉄に飛び乗った。
始発が3時だったので、それまで冷房の効きすぎているアムトラックステーションで仮眠を取った。
フィラデルフィアに着いたのは朝5時である。

その後、娘が生まれるまでに妻と過ごした12時間はとても印象的な時間だった。
諸事情により、人工的に陣痛を促し、予定日よりも早く出産することを医師が決めたため、フィラデルフィアの病院に到着してからの数時間は、寝不足とはいえ妻もいつも通りの状態で、これから本当にお産が始まるのか疑問に思うくらいの不思議な気分だった。
それでも、もちろん胸のどこかでしっかりと親になる覚悟はできていて、妻と二人で妙な緊張と興奮を共有していた。

あの時間が、これから生まれる娘にとっては真っ暗なおなかの中と光に満ちたこの世界との境目であり、新米パパママとなるオレたちにとっては、新しく家族を迎えこれまでとは違う人生のステージに行く 、その境目だったのかと思うと、本当に人生を変える瞬間だったのだなあつくづく思う。

その後、本格的な陣痛が恐らく2時か3時ごろに訪れ、夕方5時半ごろに妻が娘を出産。
待望の我が子にようやく会えた喜びもさることながら、妊娠発覚からはや8ヶ月、夫婦でおなかの子を守り抜き、最後まで健康に産めたことに、二人で大きな達成感を感じた。その後少し冷静になって、改めてみる我が子の姿はとても可愛く、愛しい気持ちが全身からこみ上げた。

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出産直後は、慣れない子育てに文字通り奮闘し、夫婦ともに寝不足に陥りながらなんとか諸問題をクリアしていくという大変な数日間だったが、同時にとても楽しい日々でもあった。

妻が本当に、本当によく頑張ってくれ、比較的小さく生まれた娘もみるみるうちに、健康に、大きく、育っていってくれた。
オレはオレで、本来学生でなかったらなかなかこんな風には体験できないであろう育児というものを体験できたのは良かった。
自分なりに精いっぱい、お産明けの妻と、生まれたばかりの娘のお世話をすることができたのは、今後の父としての新たな人生を歩む上で必要な自信を得ることにつながった。

出産から二週間という、家族三人のとても密な「育休」タイムを終え、オレは次の目的地、ベトナム・日本へと旅立つことになるのだが、その間まだまだ慣れないアメリカの地で、新生児である娘と家をしっかりと守ってくれた妻には本当に頭が上がらない。


愛する妻と娘に囲まれる幸せな日々がここに始まった。